水俣曼荼羅
13:00-20:00(休憩2回3部構成)
北方シネマ・東田シネマ共催上映
※特別興行につき大学・専門学生、シニアなどの割引はありません
原一男が最新作で描いて見せたのは、「あの水俣」だった。「水俣はもう、解決済みだ」そう世間では、思われているかも知れない。でもいまなお和解を拒否して、裁判闘争を継続している人たちがいる―穏やかな湾に臨み、海の幸に恵まれた豊かな漁村だった水俣市は、化学工業会社・チッソの城下町として栄えた。しかしその発展と引きかえに背負った〝死に至る病″はいまなお、この場所に暗い陰を落としている。不自由なからだのまま大人になった胎児性、あるいは小児性の患者さんたち。末梢神経ではなく脳に病因がある、そう証明しようとする大学病院の医師。病をめぐって様々な感情が交錯する。国と県を相手取っての患者への補償を求める裁判は、いまなお係争中だ。そして、終わりの見えない裁判闘争と並行して、何人もの患者さんが亡くなっていく。
しかし同時に、患者さんとその家族が暮らす水俣は、喜び・笑いに溢れた世界でもある。豊かな海の恵みをもたらす水俣湾を中心に、幾重もの人生・物語がスクリーンの上を流れていく。そんな水俣の日々の営みを原は20年間、じっと記録してきた。
「水俣を忘れてはいけない」という想いで―壮大かつ長大なロマン『水俣曼荼羅』、原一男のあらたな代表作が生まれた。 http://docudocu.jp/minamata/
『ゆきゆきて、神軍』の原一男監督が20年もの歳月をかけ作り上げた、372分の叙事詩『水俣曼荼羅』を北方シネマで2月23日(祝)に上映いたします。
北方シネマでは、コロナ禍のもとで大学施設が使えず一年半わたりオンデマンド上映を余儀なくされました。しかしこの間も多くの方の支援をうけ、ドキュメンタリー映画の火を絶やすことなく発信を続けることができました。
10月になり、ようやく大学での会場上映が再開できるようになり、昨年から計画を温めてきた話題作を立て続けに上映し、監督らを大学にお招きした講演会も盛況のうちに実現いたしました。
10月「聞こえる世界が"普通"ではない - ろう者の俳優が描く「カラフル」な世界」監督:伊藤詩織
10月「i - 新聞記者ドキュメント -」監督:森達也 講演:望月衣塑子・伊藤詩織
11月「作兵衛さんと日本を掘る」監督:熊谷博子
12月「荒野に希望の灯をともす- 医師・中村哲 現地活動35年の奇跡 -」監督:谷津賢二
2021年の年の瀬を迎え、北方シネマを運営し応援してくださった皆様にあらためて感謝いたします。
さて北方シネマでは、来年の1月の上映はお休みにし、今年度最後の大型作品として2月23日に「水俣曼荼羅」を上映することを決定いたしました。372分の骨太の映画です。会場には原一男監督もお招きし、幕間に水俣漫談を繰り広げます。
北方シネマが九州の映画館である以上、この映画はぜひともこの街のこの大学で上映しなければならないと、私たちは考えています。
北方シネマでは2017年よりこれまでの4年間、教員と学生の有志による運営で大学での定期的な映画上映を続けてきました。映画上映を実現するための運営委員会の努力や苦労は、多くの方が映画に集まり、そこから生まれたさまざまな反応によって、はじめて報われます。上映を続けていきたいというモチベーションもそこから生まれます。
そうした意味で、学生が少ない大学の春休みの時期に、この映画を上映することは、北方シネマにとってひとつの挑戦だと考えています。水俣曼荼羅は、北方シネマがこれまで4年間取り組んできた大学でのドキュメンタリー上映の、ひとつの大きな試金石になるでしょう。6時間を超える水俣の映画ですが、時間を感じさせない原一男監督の水俣世界です。
2021年2月23日。みなさんも水俣曼荼羅の旅をご一緒に。