北方シネマ

(*)上映回によって時間や場所が変更することもあります。毎回の案内をご確認ください
学内駐車場は使えません。お越しの際は公共交通機関をご利用下さい
北九州市小倉南区北方4-2-1
北九州市立大学 北方シネマ(竹川研究室)
【電話】080-6458-1184 (水曜を除く平日 11:00-17:00 応対)
【email】kitagata.cinema@gmail.com
【料金】前売予約1000円・当日1200円・シニア/障害者1000円・大学生/高校生500円(資料代)・中学生以下無料

2017年6月28日水曜日

北九州市立大学 公開講座『ドキュメンタリー映画を楽しもう』

これ自体ひとつのドキュメンタリーかもしれない
すべての映画好きにおくられる贅沢な講座

 北九州市立大学では、「北方シネマ」スタート記念として、2017年公開講座『ドキュメンタリー映画を楽しもう!』を開催します。

 社会や文化との関わりを視野に入れ、フィクションとノンフィクションの境界を乗り越えながら制作されるドキュメンタリー作品の、「つくられかた」から「みかた」まで、それぞれのフィールドのプロが語ります。全5回の濃密な講座を通して、ドキュメンタリー映画に内在する「とる/とられる/みせる/みる」の実像にせまりたいと思います。

映画の街・北九州の7月の愉悦だ
これだけのキャストはもうあつめられない


【プログラム】


7月1日 シンポジウム「ドキュメンタリー映画と社会」

   竹川大介(北九州市立大学 文学部・人類学)
   稲月正 (北九州市立大学 基盤教育センター・社会学)
   大平剛 (北九州市立大学 外国語学部・国際政治学)
   小野憲昭(北九州市立大学 法学部・民法)
   片岡寛之(北九州市立大学 地域創生学群・都市計画)
   命婦恭子(西南女学院大学 短期大学部・臨床心理学)


7月8日 講演「ドキュメンタリー映画のなかの私」

   纐纈あや(映画監督・代表作品『ある精肉店のはなし』)


7月15日 対談「映画をうみだす・映画をみせる」

   川井田博幸(映画プロデューサー)
   樋口智巳 (小倉昭和館館主)


7月22日 講演「映像をつくろう」

   上田謙太郎(映像作家・代表作品『調律師とピアニスト』)

 

7月29日 シンポジウム「ドキュメンタリー映画と文化」

   森田良成(大阪大学 文化人類学・代表作品『アナ・ボトル』)
   福島勲 (北九州市立大学 文学部・フランス文学)
   山口裕子(北九州市立大学 文学部・文化人類学)
   斎藤園子(北九州市立大学 外国語学部・英語圏文化)
   門馬一平(北九州市立大学 非常勤・文化人類学)


      実費負担:全5回分 3000円(北九大生、高校生以下は無料)
      募集人員:100人
      申込期間:まだ定員に余裕があるので大学にお問い合わせください。
      申込方法:ハガキ、FAX、電子メールのいずれか

 申込方法に記された方法で、「郵便番号、住所、氏名(ふりがな)、年齢、電話番号、『ドキュメンタリー映画を楽しもう』」をご記入の上、下記までお申し込みください。受領後、受講証(ハガキ)を発送いたします。

〒802-8577
北九州市小倉南区北方4丁目2番1号
北九州市立大学地域・研究支援課「公開講座」係
電話:093-964-4196
FAX:093-964-4221
Email:chiiki@kitakyu-u.ac.jp


朝日新聞 6月25日 掲載記事

読売新聞 6月25日 掲載記事

2017年6月2日金曜日

002『抗い ARAGAI 記録作家 林えいだい』 2017/6/2 18:00-


ルポルタージュは、
主題の選択から始まる。
1つのテーマを追い始めると、
次から次へと新しい疑問が生まれる。
僕は現場に身を置いて考える悪い癖がある。

時間とお金の無駄使いだと友人に笑われるが、
これが僕の方式であり生き方だ。
名もなき民衆の声なき声を、
しかと歴史にとどめていくことが、
僕自身が生きている証しなのかもしれない。

■監督■
西嶋真司

■朗読■
田中泯

■あらすじ■

福岡県筑豊の旧産炭地には、今もアリラン峠と呼ばれる場所がある。そこは、かつて日本に徴用された朝鮮人たちが炭鉱に向かう時に歩いた道である。しかし、その名は地図には載っていない。福岡県筑豊を拠点に、朝鮮人強制労働や公害問題、戦争の悲劇などの取材に取り組んできた記録作家・林えいだいがアリラン峠を歩く。林は筑豊に渦巻く様々な歴史の真相、国のエネルギー政策に翻弄された名もなき人々を記録してきた。



若い頃には北九州市教育委員会社会教育主事として地域の婦人会と公害問題に取り組み、告発運動に至る。37才の時に意を決して退職、フリーの記録作家となった。
林が記録作家になった背景には、反戦思想を貫いた父親の存在がある。神主だった父親の寅治は、民族差別に耐えかねて炭鉱から脱走した朝鮮人鉱夫たちを自宅に匿った。「国賊」、「非国民」とされた父親は、警察の拷問が原因で命を落とした。その体験が林の取材活動の原点となっている。


2014年8月9日、福岡市の雑木林を林が訪れる。1945年の同じ8月9日、そこで一人の特攻隊員が日本軍に銃殺された。国の命運をかけた重爆特攻機「さくら弾機」に放火したという罪が着せられていた。林はこの青年が朝鮮人であるが故に無実の罪を着せられたのではないかと疑念を抱き、真相に迫ろうと放火事件の目撃者のもとを訪ねる。徹底した取材の姿勢は、対象となる人物の重たかった口をも開き、決して忘れてはならない真実を浮き上がらせるのだった。

現在の林は、私設図書館の「ありらん文庫」に愛犬の「武蔵」とともに暮らしている。朝鮮人強制労働、公害問題、特攻隊の実相など、徹底した取材による膨大な資料が積まれ、歴史に埋もれた事実をここで記録してきた。
林が生まれ育った筑豊の炭鉱では、人々が懸命に生き、歴史を作った。女坑夫や石炭を荷積みする女沖仲仕など、明治から大正昭和にかけて日本の経済を支えた女性たちのことも生き生きと描いた。

重いがんと闘う林の指は、抗がん剤の副作用でペンを持てないほどだ。それでもセロテープでペンを指に巻き付けながら懸命に記録を残す。権力に棄てられた民、忘れられた民の姿を記録していくことが自分の使命であると林は語る。

「歴史の教訓に学ばない民族は 結局は自滅の道を歩むしかない。」 林えいだい

公式サイト:http://aragai-info.net/
予告編  :https://youtu.be/sKWpcqR-I-U