北方シネマ004『まなぶ 通信制中学 60年の空白を越えて』の上映が終了しました。
足を運んでくださった皆さま、ありがとうございました。
記録映画『まなぶ』HP:http://www.film-manabu.com/
戦争で大黒柱の父を亡くし、働かざるをえなかった人。戦時下、空襲で焼け出され、満足な教育が受けられなかった人。映画では、6人の生徒の背景と、今の生活にも寄り添います。妻や夫の介護や、自身の病気を乗り越え、最後まで学び通す。中学で学んだ基礎を元に高校進学を目指す生徒いました。
高度経済成長に向かう日本社会の片隅には、貧困のため中学校に通えず、働いていた子どもたちがいたのです。しかし、こういった話が過去のものであるわけではありません。時代が変わっても、今も、様々な理由で定時制や、通信制、夜間中学に通う人はいるのです。
「昔あった話」ではなく、「今につながる」話
ゲストトーク
北九州市で「青春学校」「穴生・中学校夜間学級」の開設に携わった柳井美枝さん
基礎教育保障学会の添田祥史さん(福岡大学)
今回の上映では、運営の事情により太田直子監督をお呼びすることができませんでした。
しかし、当日は北九州で「青春学校」「穴生・中学校夜間学級」の開設に携わった柳井美枝(金美子)さんと、自身も大学生の頃から同テーマに関心をもち、研究をしてこられた添田祥史さん(基礎教育保障学会・福岡大学)をお迎えしてゲストトークを行いました。進行は柳井さんと共に夜間学級に関わってこられた本学の稲月正先生です。
「学ぶことに目標をもっている人の美しさを改めて実感しました」
(柳井さん)
現在、日本で義務教育を受けていないとされる人々の人数はどのくらいになるのでしょうか。添田さんが会場に投げかけます。未就学者数(小学校に通っていない人)は12万8000人。中学校まで含めると、100万と数十万人になるそうです。
では、私たちが住む北九州では、そういった人に対してどのような支援が行われているのでしょうか。市内の夜間学級、通信制中学などの話を耳にしたことがありますか。
なんと、北九州市には公立の夜間中学はないそうです。市の補助金によって唯一運営されているのが、穴生・中学校夜間学級と城南中学・夜間学級の二つです。
義務教育からの排除ではなく、異なる背景を抱えた人々を包み込む場であること。
今の日本や北九州の現状も交えながら、自信の経験と照らし合わせながら行われたゲストトークはとても充実した楽しい時間となりました。
「まなぶ」とは
「自分らしく生きるための方法を見つけること」(柳井さん)
「取り戻す、こと。自信や、誇り、社会自体もそうだし、社会からの信頼も」(添田さん)
会場からの感想を交えながらゲストトークは進みます。
自身も年を重ねてから定時制中学で学んだ方。通信制で中学、高校を卒業し、大学まで出られた方。学ぶことの意義は何なのか。映画の中のシーンにもありましたし、実際に自分たちの目にしてきた人たちも言います。
「学校に行けなかったり、字が書けないといったマイノリティの人が、学校に通うことでとても明るくなる。同じような境遇の級友を得ることで、これまで隠してきたことを包み隠さず話すことができるようになる。」
学校とは、「何を学ぶか」と同時に「誰と学ぶか」も忘れてはいけない要素です。
映画とゲストトークを通して、「おべんきょう」以外の触れあいの大切さにも改めて気づかされました。
次回の北方シネマもお楽しみに!
北方シネマ005 『記憶の中のシベリア』 9月1日(金)18:00から
監督:久保田桂子「祖父の日記帳と私のビデオノート」(2013年)
「海へ 朴さんの手紙」(2016年) 合計110分
公式HP:http://siberia-memory.net/
北方シネマ006 『スケッチ・オブ・ミャーク』 10月6日(金)18:00から
監督:大西功一
2011年、104分。
予約はこちらから:https://docs.google.com/forms/d/e/1FAIpQLSfcK8CWAr6YxWlGEf1k0D6BWj9G8b2AoCBcBBwtgNaxBILpvA/viewform