北方シネマ

(*)上映回によって時間や場所が変更することもあります。毎回の案内をご確認ください
学内駐車場は使えません。お越しの際は公共交通機関をご利用下さい
北九州市小倉南区北方4-2-1
北九州市立大学 北方シネマ(竹川研究室)
【電話】080-6458-1184 (水曜を除く平日 11:00-17:00 応対)
【email】kitagata.cinema@gmail.com
【料金】前売予約1000円・当日1200円・シニア/障害者1000円・大学生/高校生500円(資料代)・中学生以下無料

2017年8月7日月曜日

北方シネマ004 記録映画『まなぶ 通信制中学 60年の空白を越えて』上映しました

  


北方シネマ004『まなぶ 通信制中学 60年の空白を越えて』の上映が終了しました。
足を運んでくださった皆さま、ありがとうございました。




本作は、戦後の混乱期、義務教育を受けられなかった高齢者たちが、人生の終盤に近づいた今、通信制の中学に通い「まなぶ」様子を5年間追ったドキュメンタリーです。

記録映画『まなぶ』HP:http://www.film-manabu.com/


学校に通えなかった理由はそれぞれあります。
戦争で大黒柱の父を亡くし、働かざるをえなかった人。戦時下、空襲で焼け出され、満足な教育が受けられなかった人。映画では、6人の生徒の背景と、今の生活にも寄り添います。妻や夫の介護や、自身の病気を乗り越え、最後まで学び通す。中学で学んだ基礎を元に高校進学を目指す生徒いました。

高度経済成長に向かう日本社会の片隅には、貧困のため中学校に通えず、働いていた子どもたちがいたのです。しかし、こういった話が過去のものであるわけではありません。時代が変わっても、今も、様々な理由で定時制や、通信制、夜間中学に通う人はいるのです。


「昔あった話」ではなく、「今につながる」話



ゲストトーク

北九州市で「青春学校」「穴生・中学校夜間学級」の開設に携わった柳井美枝さん

基礎教育保障学会の添田祥史さん(福岡大学)



今回の上映では、運営の事情により太田直子監督をお呼びすることができませんでした。
しかし、当日は北九州で「青春学校」「穴生・中学校夜間学級」の開設に携わった柳井美枝(金美子)さんと、自身も大学生の頃から同テーマに関心をもち、研究をしてこられた添田祥史さん(基礎教育保障学会・福岡大学)をお迎えしてゲストトークを行いました。進行は柳井さんと共に夜間学級に関わってこられた本学の稲月正先生です。




「学ぶことに目標をもっている人の美しさを改めて実感しました」
(柳井さん)




現在、日本で義務教育を受けていないとされる人々の人数はどのくらいになるのでしょうか。添田さんが会場に投げかけます。未就学者数(小学校に通っていない人)は12万8000人。中学校まで含めると、100万と数十万人になるそうです。

では、私たちが住む北九州では、そういった人に対してどのような支援が行われているのでしょうか。市内の夜間学級、通信制中学などの話を耳にしたことがありますか。

なんと、北九州市には公立の夜間中学はないそうです。市の補助金によって唯一運営されているのが、穴生・中学校夜間学級と城南中学・夜間学級の二つです。

義務教育からの排除ではなく、異なる背景を抱えた人々を包み込む場であること。
今の日本や北九州の現状も交えながら、自信の経験と照らし合わせながら行われたゲストトークはとても充実した楽しい時間となりました。


「まなぶ」とは


「自分らしく生きるための方法を見つけること」(柳井さん)
「取り戻す、こと。自信や、誇り、社会自体もそうだし、社会からの信頼も」(添田さん)



会場からの感想を交えながらゲストトークは進みます。
自身も年を重ねてから定時制中学で学んだ方。通信制で中学、高校を卒業し、大学まで出られた方。学ぶことの意義は何なのか。

映画の中のシーンにもありましたし、実際に自分たちの目にしてきた人たちも言います。

「学校に行けなかったり、字が書けないといったマイノリティの人が、学校に通うことでとても明るくなる。同じような境遇の級友を得ることで、これまで隠してきたことを包み隠さず話すことができるようになる。」

学校とは、「何を学ぶか」と同時に「誰と学ぶか」も忘れてはいけない要素です。
映画とゲストトークを通して、「おべんきょう」以外の触れあいの大切さにも改めて気づかされました。




次回の北方シネマもお楽しみに!


北方シネマ005 『記憶の中のシベリア』 9月1日(金)18:00から

監督:久保田桂子
「祖父の日記帳と私のビデオノート」(2013年)
「海へ 朴さんの手紙」(2016年) 合計110分
公式HP:http://siberia-memory.net/



北方シネマ006 『スケッチ・オブ・ミャーク』 10月6日(金)18:00から

監督:大西功一
2011年、104分。



予約はこちらから:https://docs.google.com/forms/d/e/1FAIpQLSfcK8CWAr6YxWlGEf1k0D6BWj9G8b2AoCBcBBwtgNaxBILpvA/viewform

2017年8月4日金曜日

004 記録映画『まなぶ 通信制中学60年の空白を越えて』


学ぶこと 教育を受けることの尊さを

こんなに感じたのは 初めてでした

(50代男性)


戦後をひたむきに生きた人たちが、人生の終盤につかんだ青春

 東京都千代田区立神田一橋中学校通信教育課程。大都会の片隅に戦後の混乱期、義務教育を受けられなかった高齢者たちが、青春を取り戻しに来る学び舎がある。人生の終盤を迎えてなお、人はなぜ学ぼうとするのか。その意味を探して、5年の歳月を追った。


北方シネマ004は、記録映画『まなぶ 通信制中学・60年の空白を越えて』です。

【上映日】 8月4日(金)18時から
【場所】  北九州市立大学 本館A-101

予約一般1000円/当日一般1200円
大学・高校生500円/シニア(60歳以上)・障害者1000円
【ご予約】
電話  080-6458-1184 (水曜を除く平日11時〜17時応対)


■あらすじ■

 映画の舞台は東京都千代田区立神田一橋中学校通信教育課程。毎月2回の休日、戦後、中学校で義務教育を受けられなかった高齢の生徒たちが、面接授業に通ってくる。 60年ぶりの学校生活にとまどいながらも、学ぶ喜びにみちた表情の生徒たち。 教えるのは生徒の子や孫の年齢の先生たちだが、生徒たちの人生経験を踏まえた、あたたかいまなざしにみちた授業が展開される。 休み時間には、まるで十代の少女に戻ったかのように互いの家庭の事情を語りあい、笑いあう。 そんな学校生活の日常に2009年から2014年までの5年間カメラを向けたのが、この作品である。

 学校にたどりついた背景は一人一人それぞれ異なる。映画は6人の生徒の背景にもよりそう。 戦争で大黒柱の父を亡くし、働かざるをえなかった人、戦時下、空襲で焼け出され、満足な教育が受けられなかった人。 戦争は子どもたちから教育という大切な宝を奪った。 そして、高度経済成長に向かう日本社会の片隅にも、貧困のため中学校に通えず、働いていた子どもたちがいた。 自ら選択できなかった人生の終盤に、ようやくたどりついた学び舎。 先生がいて、同級生がいて、学びの前に生徒たちは青春時代に帰る。 夫や妻の介護、自身の病気を乗り越え、中学で学んだ基礎をもとに高校進学をめざす生徒も現れる。


予告編



 
公式サイト:まなぶ 通信制中学 60年の空白を越えて
まなぶ 通信制中学 60年の空白を越えて
2016年/カラー/BD/92分/日本/ドキュメンタリー
撮影・監督・語り:大田直子
プロデューサー:田野稔
製作著作:グループ現代(http://g-gendai.co.jp/)
助成:文化庁文化芸術振興費補助金